牙龍 私を助けた不良 上




side:凜華


ピチャッ・・ン・・・


水の跳ねる音が聞こえる。重たい瞼を何とか少しだけ開けると、少しだけ何かが見えた。


・・・あれ、動かない。


そこでようやく、自分が拘束されたまま寝かされていることに気が付いた。場所は、柔らかなソファーの上だ。


拘束にロープらしいものを使われている。どこかの、倉庫だと思われる。


鈍い思考の中で、拘束を解こうとして見るが取れない。何かないかと探って見ると。


手に冷たい鉄の感触があった。


・・・形状からして、手錠っぽい。


何故こんな場所にあるのか分からないけれど、使えるかもしれない。なんとかロープと手の間に手錠の一部を差し込む。


狭いスペースで鉄を差し込んだせいで、手首が痛い。手錠とロープが食い込む痛みに耐えながら、何とか動かす。