「ホラー映画」


「ゾンビの映画」


「怖がらんと思うで?」


「「何でーー!?」」


「女の子怖がらせるなんて、悪趣味よ」


「「別に趣味じゃないもん」」



どうでもいい会話が繰り広げられるのを聞きながら、お化け屋敷の出口を見つめる。


一方道だから迷うことはないだろうし、そんなに長い距離でもない。


それなのに。


凜華は暗闇から出てこない。そのうえ、俺達の後ろにいた人達が出てくる。



「ちょっと、遅すぎじゃない?」


「・・・確かにせやな」


「探しに──「総長ー!!!」



勇人の言葉を遮ったのは、聞き覚えのある仲間の声だった。


焦ったように、走り寄って来た。かなり急いでいるのか、額に少しだけ汗が滲んでいる。


黒髪黒目で、どう見ても不良に見えない仲間の大雅が、息を吐き出して、俺に言った。