瞬く間に、顔が熱くなって上げられなくなった。


だが、木藤は顔を下げたのを不思議に思ったらしく、顔を覗き込もうとして来た。


だから、顔を下げながら、少しだけ木藤の胸元に額を当てた。



「・・・凜華?」


「な、何でもないっ!!」


「なら、顔上げろ」


「・・・・・」


「凜華、俺を見ろ」



命令か、願いかは分からない。


・・・てか、命令すんな。


強がりだってバレてるかもしれないけど、今顔を見られるのはイヤだ。ダメな気がする。


木藤はそんな私にお手挙げになったのか、はぁと溜め息を吐いた。そして、



「・・・行くぞ」


「へ・・・きゃっ!!」



グイッと、右手首を掴むと引っ張って歩き出した。思わず悲鳴に似た驚きの声を上げてしまう。


・・・きゃっ、とか気持ち悪っ!!!