朱里がクスクスと笑うと、木藤がちっと小さく舌打ちした。


クラスメートからの視線を、痛いくらいに感じながらも、木藤をじっと見つめる。すると。



「木藤君、凜華をお願いね?」


「は?」


「凜華、木藤君相手に練習してね」


「え・・・?」



朱里は私の羽交い締めを解くと、はい、と言いながら私を木藤に向かって押した。


急なことに対応出来なくて倒れかけた私を、木藤は素早く受け止めた。・・・流石、現役総長。


ありがとう、と言うために顔を上げかけて、はたと気付く。・・・私は今、木藤に軽く抱き締められたような形になっていた筈だ・・・っ!!!