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満月が恍惚(コウコツ)と青白い光で、真夏の夜空を照らし、賑やかな繁華街を照らし出す。


しかし、照らされている繁華街の八割は表路地。裏路地は、賑やかさとうって変わって閑散(カンサン)としている。


空きビンやカン、ゴミ。または要らなくなった家具等があちこちにある。


繁華街が文字通り華やかに見えるのは、裏路地ようにこんなにも寂しい場所があるからかも知れない。


だが、そこは夜になると野良猫達以外のモノがやってくる。


そう、不良達だ。


今夜も不良達が暴れたのか、空き巣となった建物のガラスが地面に散らばり、多くの不良が倒れていた。


そこに、溶け込むようにして佇む人影があった。


満月に照らされて、黒銀という不思議な色合いの長髪がキラキラと光る。