呼んだは言いが凜華は目を覚まさず、ただ涙だけが泣き痕のついた頬を伝っていく。 ──これが凜華の、本当の姿じゃないかと思った。 いつもツンツンしていて、弱味なんてなさそうに見えた。強い女だなと思っていた。 でも、本当はこうして泣いている。 苦しそうな声を出しながら魘(ウナ)され、ただ静かに涙を流している。 「凜華」 もう一度名前を呼ぶ。本当は弱くて、守りたいと思った女(ヒト)の名前を。 すると、凜華は瞼を震わせて瞳を開けた。それは涙に濡れた、弱々しい瞳だった。