デスマッチと化したビーチバレーやら、水泳競争やらが繰り広げられて数時間後。


木藤達に連れられて海のすぐ近くにある、落ち着いた和風な感じの老舗旅館だった。ホールに行くと、浴衣を着た人達が出迎えてくれた。



「お待ちしておりました」


「言っておいた通りだ」



木藤が女将さんらしき人にそう言うと、彼女はスタッフと荷物を持って大部屋に案内してくれた。


夕方だと言うこともあり、風呂に行けと言われたので着替えを持った。


ここは露天風呂が売りらしく、女将さんがそう教えてくれた。貸し切りだから、ゆっくり出来るようだ。


木藤達はガヤガヤと何かやってた。よく分かんないけど、気にする必要はないだろう。


部屋を出て、廊下を歩いていく。何気無く窓に視線をやる。──夕日に染まったオレンジ色の海が地平線まで広がっている。


賑わっていた昼間とは違って、優しい色なのにどこか心がざわざわする不安な海に見える。


・・・海、久し振り。


そう思いながら無意識に胸元のネックレスに触れた。シャラン、と控えめにおとがする。