―ガラガラッ オレが教室のドアを開けると五月蝿かった教室が一瞬にして静まり返った。 ハァ…ここでも有名人か。皆はオレのことを、“岸本優馬”ではなく“岸本財閥の御曹司”として見ている。オレとしては“岸本優馬”としてみて欲しいのに… 『オレの席は…と。』 沈黙が嫌でつぶやきながら座席表から自分の名前を探していると。 『優馬くんの席あそこだよ?』 名前も知らない女子が話しかけてきた。 『ありがとう。』 そう言って席に向かった。