三度目のキスをしたらサヨナラ

「それにしてもあのラーメン屋さんって、面白いよねー」

私の表情が曇ったのを知ってか知らずか、ソウが止まってしまった会話を繋いでくれた。

「昨日初めてお店に入ったんだけど、メニューがなくて困ってさ。店には他にお客さんは誰もいなくて、怖そうな店主……ウーさんだけだし」

暖房がよく効いた店内。
セーターを腕まくりしながら、ソウは話を続けた。

「それで、恐る恐るラーメンと餃子とチャーハンを頼んだら、ラーメンしかないって言われちゃったよ」

「あぁ。ウーさんのお店のメニューはね……」

私はソウに『ラーメン うちだ』の4種類のメニューを教えてあげた。

「なかでもオススメは、酸っぱいキムチ。切ない味がするから一度食べてみて」

「へえー。今度頼んでみよう。辛いんじゃなくて酸っぱいんだね」

「そうよ」

コーヒーを飲みながら楽しそうにメニューを復唱するソウを真正面から眺めていると、

──あれ?

脳裏に浮かんだ蒼太の姿と胸の痛みはどこかに消えていた。



「ところでミナさん。白菜は芯がすき? 葉っぱがすき?」

「なに? 急に……。葉っぱが好きだけど」

「よかった、俺は芯が好きなんだ。芯のあの歯ごたえってよくない?」

そう言ういながらソウはにっこり笑った。


またこの男は、何を言い出すんだか……。