三度目のキスをしたらサヨナラ

──何か、聞かないと。

昨日彼女とどんな会話をしたの?
どんな別れ方だったの?

ここで攻めれば、ソウは案外簡単に陥落するような気がした。

だけど、私は何も聞けずに、ただ、ソウの横顔をじっと見つめていた。

ううん。
ソウの綺麗で物憂げな横顔に見とれてしまっていたのかもしれない。


ピアノの調べを聴きながら暫し静かな時間を過ごしていると、注文したコーヒーが私たちのテーブルへ運ばれてきた。

陶器でできたシンプルなオフホワイトのコーヒーカップに、コーヒーの濃い色がよく映えている。

柔らかな湯気のたつコーヒーを一口飲むと、香ばしい香りが鼻に抜けた。

「おいしい……」

カップをソーサーに戻すときに立つカチャッという音さえ心地よく響いて、私ははぁっとため息をついた。

きっと、コーヒーの味だけなら、私がバイトをしている喫茶店だって負けていない。

だけど、このお店の雰囲気が、このコーヒーの味を何倍、何十倍にも引き立てていた。