三度目のキスをしたらサヨナラ

そんな話をしながら歩いているうちに、私たちはイタリアンレストランの前まで戻ってきていた。

さっき通ったときには誰もいなかった店先には、カップルや女性同士の客が何組も順番待ちの行列を作っている。

「へえー、ミナさん、見て! ここって人気あるんだね」

「そうみたいね」

「……いつか、行きたいなぁ」

ソウがボソッと呟いた。

「彼女と?」

「はは……無理だけどね、もう」

ソウは苦笑いをすると、大きな体を気持ち縮めて、行列客で狭くなった歩道の隙間を早足で通り過ぎた。

私もその後を追う。

順番を待つ人たちは、寒そうだけど皆どこか楽しそうだった。

「ソウがN大やK大を選んだのは、やっぱり彼女のため?」

「うん。──もちろん希望の学部があったからで、それだけが理由じゃないけど」

彼女のそばにいたかったんだ?
そんなこと、聞かなくても答えは分かっていた。

──蒼太なら、絶対にこんな言葉を口に出したりしない。
逆に「お前が俺について来い」って言うような奴だった。

だから逆に、ソウにここまで言わせてしまう彼女のことが少し羨ましかった。

私はひとつ大きなため息をついた。

「ホントに幸せものだね、彼女は」

「でしょ? 本人にそう言ってやってよ!」

褒めたわけじゃないのに、ソウは得意げな表情を見せた。