私たちはゆっくりと、来た道をカフェへ向かって戻った。

「ねえ、次はどこの大学を受けるの?」

私の質問に、ソウは人差し指で後方を軽く指差しながら

「K大だよ」

と答えた。

K大。
それはさっきの牛丼屋のより少し先に位置する、私の通う大学だった。

「そうなの? 私も──」

K大の学生なの。
そう言いかけて、はっと口を閉ざした。

「どうしたの?」
「ううん、何でもない」

そうだ。
今の私は“22歳”だったんだ。

22歳ということは、実際よりも3つ年上だから……もう大学を卒業している計算になる。

私は動揺をソウに悟られないようにしながら、頭の中で偽りのプロフィールを組み立てていった。

そんなことを聞かれるはずもないのに干支の確認までして。

──よし、大丈夫。
抜かりはない。

「私も、去年までそこに通ってたんだ」

「そうなんだ! 偶然だねー。じゃあ俺、今から本命K大に変更しようかな」

……ソウが笑顔で言うと、冗談に聞こえないから怖い。