三度目のキスをしたらサヨナラ

そう言った海は、何でもお見通しという顔をしていた。


「……言わなくても、もう分かってるくせに」

「うん、でもちゃんと聞きたいから。教えて?」


海の甘い囁きと余裕の微笑に眩暈さえ覚えながら、私は自己紹介を続けた。


「私は……もうすぐK大の3年」

「うん、知ってる」

「……だったら聞かないでよ」

「そして、今日で20歳。だよね?」

「……そうだけど」

悔しい。

結局海は、全部知ってたんだ。

私は上目遣いにチラッと海を睨みつけた。

「……いつから気が付いてたの?」

「漁港で初めて佐和子さんの話を聞いたときだよ。だって、ミナミは大学を卒業しているはずなのに、同い年の佐和子さんも1つ年上のソータさんも大学生だっていうんだから、おかしいって思うでしょ?」

「あ……」

「自分のことは意識して必死に隠してたみたいだけど、あと1歩、詰めが甘かったね。まぁ、そういうとこもかわいいんだけど」

自分では完璧に演じていたと思っていたのに、実は全てバレバレで、しかもかわいいなんて言われて。
私は、恥ずかしさのあまり耳まで真っ赤になっていた。

「でも、2人が俺みたいに浪人してるっていう可能性がないわけでもなかったしね。確信を持ったのはついこの前なんだよ。その様子だと、俺がカマかけたのにも気づかなかったんじゃない?」

「いつの話?」

「ミナミが電話くれたとき」