「じゃあ、次はミナさんね。どうぞ」
海は首を軽くかしげて言った。
「私の名前は……ミナミ。漢字で書くと、『美しい』に……」
海の顔を見つめながら、私は自分の本当の名前を告げた。
「……って書くの」
「……え!? 本当に?」
海が少し甲高い、驚きと喜びが混じった声をあげる。
「本当よ。こんな嘘、つかない……」
海は黙ったまま、ただ嬉しそうに私を見つめていた。
──今。
きっと私たちは、同じ景色を思い出しているはず。
あの時、漁港の防波堤で見た景色。
『海』という名前を教えてもらった後、『ミナさんは?』と聞かれた私が思わず見つめたのは、目の前に広がる海だった。
その海面でおだやかに揺れていたのは、太陽の光を受けて輝く白い波──。
「そうかー、やっぱり俺たちは縁があったんだね。……で、俺はこれからどう呼べばいいの?」
「普通に、『ミナミ』で。……友達はみんなそう呼ぶのよ。『ミナ』なんて呼ぶのは蒼太とウーさんだけなんだから。……私だって、『ミナさん』なんて呼ばれて、ずっとずっと、恥ずかしかったんだからね……なんだか自分が自分じゃないみたいで……」
なんだか恥ずかしくて、照れくさくて。
最後の方はしどろもどろで、言っている自分でさえ訳が分からなくなっていた。
だけど、それでも海は何度も頷きながら話を聞いてくれた。
そして、私の話が終わると、
「了解!」
そう言った後、私の顔を覗き込みながらゆっくりと私の名前を呼んだ。
「ねえ、ミナミ」
「……なに?」
「まだあるよね? 自己紹介、続けて?」
海は首を軽くかしげて言った。
「私の名前は……ミナミ。漢字で書くと、『美しい』に……」
海の顔を見つめながら、私は自分の本当の名前を告げた。
「……って書くの」
「……え!? 本当に?」
海が少し甲高い、驚きと喜びが混じった声をあげる。
「本当よ。こんな嘘、つかない……」
海は黙ったまま、ただ嬉しそうに私を見つめていた。
──今。
きっと私たちは、同じ景色を思い出しているはず。
あの時、漁港の防波堤で見た景色。
『海』という名前を教えてもらった後、『ミナさんは?』と聞かれた私が思わず見つめたのは、目の前に広がる海だった。
その海面でおだやかに揺れていたのは、太陽の光を受けて輝く白い波──。
「そうかー、やっぱり俺たちは縁があったんだね。……で、俺はこれからどう呼べばいいの?」
「普通に、『ミナミ』で。……友達はみんなそう呼ぶのよ。『ミナ』なんて呼ぶのは蒼太とウーさんだけなんだから。……私だって、『ミナさん』なんて呼ばれて、ずっとずっと、恥ずかしかったんだからね……なんだか自分が自分じゃないみたいで……」
なんだか恥ずかしくて、照れくさくて。
最後の方はしどろもどろで、言っている自分でさえ訳が分からなくなっていた。
だけど、それでも海は何度も頷きながら話を聞いてくれた。
そして、私の話が終わると、
「了解!」
そう言った後、私の顔を覗き込みながらゆっくりと私の名前を呼んだ。
「ねえ、ミナミ」
「……なに?」
「まだあるよね? 自己紹介、続けて?」



