三度目のキスをしたらサヨナラ

「ウーさん、言ってたよ。『ミナちゃんはお客さんである前に、大事な俺の友人なんだ』って」

ソウは優しい瞳で私を見つめて、ウーさんが語ったという話を聞かせてくれた。



──ウーさんは、こう言ってくれたらしい。


『俺が嫁さんを亡くしてヤケになってたとき、ミナちゃんと蒼太は毎日ラーメンを食いに来てくれたんだ。慰めの言葉がある訳じゃない、ただ『ウーさんラーメン作って!』って店に入ってきて、黙ってラーメンを食ってくれたんだ』

『そのおかげで俺は腐らずにすんだし、この店を守り続けることが出来た』

『だからそんな大事な友達のことを、ポッと出のお前ごときに簡単に教えてやるつもりはない。知りたいことがあるなら必死になって、自分で掴め』




「ウーさん……そんなことを?」

「うん。今思えば、俺は試されてたんだろうね。途中でくじけてたら、この場所は教えてもらえなかった気がする」

「……携帯に連絡してくれれば良かったじゃない」

「うーん、そうなんだけど。いきなり会って驚かせて、感動の再会がしたかったんだ」


全く、どこまで余裕があるのよ。

ソウの笑顔に、私は怒る気力を失ってしまった。