三度目のキスをしたらサヨナラ

「今日は『ソウのバカ!』って怒らないんだね」

ソウは笑ってそう言うと、私から一旦離れ、ベンチを跨いで私の横に座った。

私は涙を拭きながら聞いた。

「いつ東京に来たの? それに……どうしてここが分かったの?」

ソウは私を嬉しそうに見つめると、ゆっくりと楽しそうに言葉を重ねた。

「おいしいラーメン」
「酸っぱいキムチ」
「煮詰まったおでん」
「固いおにぎり」

「……え?」

それは、『ラーメン うちだ』のメニュー。

「1週間前にやっとこっちに出て来れたんだ。それで、ミナさんを驚かせたくて、真っ先にウーさんのお店に行ったんだよ。あそこに行けば、絶対会えると思ったからね。……だけどミナさんには全然会えないし、ウーさんにミナさんのことを聞いても何も教えてくれなくて」

ソウはその時のことを思い出したのか、大きな溜息をついた。

「あのオヤジ、どれだけ口が堅いんだよ。1週間通い続けて、毎日全品食べ続けて、教えてもらえたのはやっとこの場所だけなんだよ?」

ソウは嬉しそうに笑っていた。

「しかも、今日お店に行くなりこの場所告げられて、『今すぐ行ってこい』だって」

「さすが、ウーさん」

私も思わず笑ってしまった。

なんだか、そのぶっきらぼうさがとてもウーさんらしくて。