「ソウ……!」
隣のホームに立ち、周囲を見回しているソウは、こちらには全く気づいていなかった。
どうしよう。
早くソウに声をかけないといけないのに、身動きが出来なかった。
──ソウから目が離せない。
ソウは冷たい空気を吸い込んで、前屈みになって苦しそうに咳込んだ。
だけど、咳をしながらも、ソウのその目は周囲を見回して私を探し続けてくれている……。
はっと我に返った私は、階段を駆け下りて階下のコンコースへ向かった。
階段を下りる間、ずっと私の携帯電話が鳴っていたけれど、それを手に取る余裕なんてなくて。
一刻も早くソウのいるホームへ行きたくて、私は止まらずにコンコースを横切ると、今度は隣のホームへ続く階段を駆け上がった。
新幹線が通過した直後の人気の少なくなったホームで、ソウの姿を見つけるのは簡単だった。
私のすぐ目の前に、携帯を耳に当ててこちらへ向かって歩いてくるソウがいる──。
私はそこでようやく鳴り続けていた携帯を取った。
「もしもしミナさん? 俺、今K駅に着いたんだけど、どこにいるの!?」
通話ボタンを押した途端、ソウの大きな声が、携帯からではなく直接私の耳に響く。
あぁ……。
毎日のように夢に見た懐かしい声、懐かしい姿。
それは間違いなく、一週間ぶりに会うソウのものだ。
だけど、やっと会えたのに、そんなソウの姿は、みるみる涙でにじんで見えなくなっていく。
「私は……ソウの目の前にいるよ?」
それだけ言うと、私は立っていられなくて、その場に座り込んでしまった。
「あ……ホントだ」
次第に近づいてくる足音。
そしてその足音の主は私の目の前で立ち止まり、ぐっと屈み込んで私の手を優しく掴んだ。
「ミナさん、みーつけた」
見上げるとそこには、愛しい愛しい、ソウの笑顔があった。



