わずかな気圧の変化に耳が塞がったような感覚を覚えて目を開けると、ちょうど新幹線がトンネルに入ったところだった。

窓に目をやると、そこに映っている自分と目が合う。

「なに、この顔……」

髪はボサボサだし、
化粧はすっかり落ちちゃって。

口は半開きで、
肩で息をしていて。

こんな顔、ソウには絶対見せられない……。


──こんなに必死に走ったのは何年ぶりだろう。


ただ、ソウに会いたい一心で、着替えも何も持たずに新幹線に飛び乗ってしまった。

そんな、らしくない自分がおかしくて。

だけど、そんな自分がとても愛おしくて。


私は、思わず笑ってしまった。