三度目のキスをしたらサヨナラ

「その様子だと、あまり元気そうじゃないな」

精一杯の作り笑いも、ウーさんには通用しなかった。

「何を悩んでるんだい? ……まだ、蒼太のことを?」

私は首を横に振った。

「ううん。蒼太のことは関係ないの。……ただ、今日はいろいろありすぎて、ちょっと疲れちゃっただけだよ」

ウーさんに、さっきの出来事をどう説明していいのか分からない。
私は話題を変えようと、注文をした。

「ウーさん、今日もいつものやつ、お願いね」

ウーさんが湯気の奥に消えるのを見届けると、私は目を閉じて、ずっと止まったままだった頭をフル回転させようとする。

──だけど。

考えなければいけないことはたくさんあるのに、一体何から考えればいいのか分からなくて。

私は机に肘をつき、頭を抱えてため息をついた。

落ち着け、私……。


ソウの彼女が「ミナ」ではない。
それって……どういうこと?

確かにソウは、最初のキスをした後「ミナ」と呟いた。

そして、翌日私がそのことを指摘すると、こっちが面食らってしまうほど動揺した。
泣き顔を見られた時より、キスをしたときより、真っ赤な顔をして……。


あれは、彼女のことじゃなかったんだ。

だとしたら。

もしかして、『ミナ』って──