バイトを終え、お店を出た時には17時半を過ぎていた。
その足で『ラーメン うちだ』に立ち寄ると、店内には開店直後にもかかわらず先客がいた。
──それは、私がいつも座っていた一番右端の席と、その隣。
座っているのは、見たことのない学生のカップルだった。
彼はウーさんがコーチを務める大学のラグビー部員のようで、厨房の奥で作業をしていたウーさんを大きな声で「コーチ!」と呼ぶと、ラーメンを2つ注文した。
そしてその後、彼は彼女と目を見合わせ、なにやら楽しそうに会話を始めた。
「いらっしゃい、ミナちゃん」
私の姿に気づくと、ウーさんはいつもと同じ笑顔でそう言ってくれた。
「久しぶりだね、ウーさん」
私は少し躊躇った後、左から2番目の席に座った。
ふと、その隣──一番左の席──に目をやる。
そこは、ソウと初めて出会った日、ソウが座っていた席だった。
「そうだな。最近毎日ミナちゃんの顔を見てたからね。この1週間寂しかったよ」
ウーさんはカップルにラーメンを出すと、ウォーターサーバーでグラスに水を注ぎ、カウンター越しにそれを私の前に置いてくれた。
「どう? ……少しは元気になれたかい?」
私はそのグラスを両手で握りしめた。
「うん……」
その足で『ラーメン うちだ』に立ち寄ると、店内には開店直後にもかかわらず先客がいた。
──それは、私がいつも座っていた一番右端の席と、その隣。
座っているのは、見たことのない学生のカップルだった。
彼はウーさんがコーチを務める大学のラグビー部員のようで、厨房の奥で作業をしていたウーさんを大きな声で「コーチ!」と呼ぶと、ラーメンを2つ注文した。
そしてその後、彼は彼女と目を見合わせ、なにやら楽しそうに会話を始めた。
「いらっしゃい、ミナちゃん」
私の姿に気づくと、ウーさんはいつもと同じ笑顔でそう言ってくれた。
「久しぶりだね、ウーさん」
私は少し躊躇った後、左から2番目の席に座った。
ふと、その隣──一番左の席──に目をやる。
そこは、ソウと初めて出会った日、ソウが座っていた席だった。
「そうだな。最近毎日ミナちゃんの顔を見てたからね。この1週間寂しかったよ」
ウーさんはカップルにラーメンを出すと、ウォーターサーバーでグラスに水を注ぎ、カウンター越しにそれを私の前に置いてくれた。
「どう? ……少しは元気になれたかい?」
私はそのグラスを両手で握りしめた。
「うん……」



