三度目のキスをしたらサヨナラ

「私は紅茶、レモンティーを下さい」

リョーコちゃんは私を見上げると、笑顔を添えてそう言った。


「……リョーコは、本当にそれでいいの?」

話を静かに聞いていたリーダー風の女の子が呟く。

リョーコちゃんは笑顔のままだった。

「……うん。海に頭下げられて、『他に好きな人が出来た』って言われたとき、もうだめなんだって思い知らされちゃった」

リョーコちゃんの話を、他の3人は身動きせずに聞いていた。

「私、今までさんざん海に甘えて振り回してきたでしょ? あんまりいい彼女じゃなかったから、せめて引き際ぐらい綺麗にしてあげたいんだ。……さすがに、海の恋が実りますように……なんて、応援はできないけどね」


リョーコちゃんは、ソウに見せてもらった写真と同じ素敵な笑顔で、そう言った。

だけど、その瞳はちょっと涙ぐんでいて。


「大丈夫だよ!リョーコなら絶対いい人見つかるから!」
「私たちが見つけてあげるよ。よしっ、コンパしようー!!」

明るくそう言う友達の声も、震えていた。


話が落ち着き、そこでようやく私の存在に気づいた彼女たちは、少し恥ずかしそうな顔を見せる。

「あ、すいません……注文は以上です」

リョーコちゃんよりも、他の友達よりも先に泣き出しそうになった私は、上の空で注文を繰り返すと、逃げ出すようにテーブルを後にした。


──頭の中が真っ白だった。


その後のことは、何も覚えていない。

どうやって彼女たちのテーブルに紅茶やカフェオレやパフェを運んでいったのか、
バイトが終わる時間まで、何をしていたのか。


ただ、これだけは間違いない。

私は、ずっと、ずっと、ソウのことばかり考えていた。