──そうだよ、ソウ。
私はいつも、蒼太を待っていたの──


ラーメンを食べたら、次は牛丼。
それは私たちのお決まりのデートコースだった。

私たちの待ち合わせ場所はいつも『ラーメン うちだ』。

ここでラーメンを食べた後も、決まってお店に居座り、ウーさんと長話をするのが習慣になっていた。

そしてお店を出た蒼太は、数メートル歩いたところで必ず私にこう言った。

『また腹が減ってきたな、次はあそこに行こう』

そう言って、この歩道を歩きながら、牛丼屋さんの赤い幟を指さした。

『イヤよ、私はお腹いっぱいなんだから』

『じゃぁ、隣で漬け物でも食べといて』

私が呆れた顔をすると、蒼太はいつも『ほら』と私に腕を差し出した。

そして私は『まったくもう……』って呆れながらも、その腕に自分の腕を絡めて。


どんなに洒落たレストランで、
どんなにおいしいコース料理を食べるよりも、

私は蒼太と肩を並べて食べるラーメンや牛丼が好きだった。


だけど、もう、本当に終わったんだ。

これが最後のチャンスだったのに。

……蒼太はもう、二度と戻ってこない。


一気に体の力が抜けて、私はソウの隣に座り込んでしまった。