三度目のキスをしたらサヨナラ

私の背中を追いかけるように、背後からウーさんの「ミナちゃん! 待つんだ!」という声が聞こえてくる。

でも、私には立ち止まっている余裕はない。

早く蒼太を探さないと……!


「蒼太!」

お店を飛び出すと、私は何度も何度もその名前を呼んだ。

だけど。
どんなに名前を叫んでも、周囲を見回しても、どこにも蒼太の姿はなかった。


──どこに行っちゃったの?

あきらめかけたその時、私はハッとした。

……あそこだ。

ここを出たら、その次はきっと。


私はその方向を向いた。

暢気そうに歩道を歩く人々の隙間から、目印のあの幟が見え隠れする。


あそこしかない──!

私はその目印めがけて走り出した。



だけど。

「ミナさん!」

10メートルも進まないうちに、私は後を追いかけてきたソウに腕を捕まれた。

「待って!」

ソウの力は強くて、私は一気に失速してしまう。

腕を捕まれ後ろへ引き戻された私は、そのままソウの方を向くと、もう片方の手を必死に振り回して抵抗した。

「ソウ、手を離して! 早くしないと、蒼太が行っちゃうの!」

私は拳で、ソウの胸を何度も殴りつけた。

だけど、どんなに私が暴れても、ソウは掴んだ私の手を離そうとしなかった。

「ミナさん!」

そして次の瞬間、私はソウに抱きすくめられた。

「ミナさん、少し落ち着いて!」

「離して!」

「イヤだ……絶対離さない」

私がどんなに抵抗しても、ソウの力は強くて、私は身動きひとつできなかった。

そして、どんなに抗いでも無駄だと知った私は、遂にそこで力尽きた。

私は、握りしめていた拳を開くと、そのままだらんと下に垂らした。


──もう、ダメだ。