三度目のキスをしたらサヨナラ

私が見上げたその先にあったのは、ソウの優しい顔だけ──。

「……ミナさんの傷が癒えますように」

ソウの顔が近づいて、私は自然に目を閉じた。

そして私の唇に、ソウの優しいキスが降ってきた。



一度目よりも、ほんの少しだけ長いキス。

それは、目を閉じた時に零れた最後の涙が、頬を伝って首筋へと消えていくまでの軽くて短いキスだった。



静かに目を開けると、そこにはキスをする前と同じソウの顔があった。

「涙、止まったね」

私はなんだか照れくさくて、顎を引いてソウから視線を逸らすと
「うん」と答えた。

「どう? 少しは楽になれた?」

「……よくわかんない」

私が首をかしげると、ソウは

「えーっ、意味なかったの?」

と笑った。

その笑顔につられて、なぜか私も笑ってしまった。


「でも、もうちょっとだけ……。ソウの胸、貸して」

私が再びソウの胸におでこをつけると、

「いいよ、いくらでもどうぞ」

そう言って、ソウの温かい手が私を包み込んだ。



──二度目のキス。

それは、タバコのほろ苦い香りと、しょっぱい涙の味。

だけどソウに包まれて、ほんの少しだけ笑顔を取り戻せたキスだった。