ソウは、私の手からタバコを抜き取ると、
「空気を吸わないと、火はつかないんだよ」
そう言いながらタバコを咥え、ライターの火を近づけると、首をかしげてわざと私に見せつけるようにして息を吸いこんでみせた。
すぐにタバコの先端が赤くなる。
「ね、分かった?」
横を向いて煙を吐き出しながら、ソウはまるで子供に教え聞かすように私に言った。
──なんだか、馬鹿にされた気分。
腹が立って、恥ずかしくて。
「貸して!」
私はソウの手からタバコを奪うと、口に咥えて思い切り息を吸い込んだ。
その瞬間、口の中にタバコの煙が充満した。
激しい苦みが私を襲う。
「やっ……!」
思わず口を開いて空気を吸い込んでしまったのが、更に悲劇に拍車をかけた。
その衝動で、強い刺激が鼻だけでなく胸にまで広がった。
頭がクラクラして、息ができなくなって、
私は思わず咳き込んだ。
「あーもう、無理して」
ソウは私からタバコを取り上げると地面に捨て、足で踏んで火を消した。
そして、前屈みになって咳き込んでいる私の背中を優しくさすってくれた。
「どうしてそんなに背伸びしようとするの? 無理して笑うのは反則だって約束したじゃん」
──ソウの前では、私は頑張ることもできない。
この涙はタバコの煙のせいなんだ、
この鼻水は寒さのせいなんだ、
だからまだ私は大丈夫なんだ、って言い聞かせても、もう涙は止まらなくて。
「ミナさんはミナさんのままでいてよ」
「ソウ、うるさい……」
私はソウの胸におでこをつけると、声を押し殺して泣いた。
「空気を吸わないと、火はつかないんだよ」
そう言いながらタバコを咥え、ライターの火を近づけると、首をかしげてわざと私に見せつけるようにして息を吸いこんでみせた。
すぐにタバコの先端が赤くなる。
「ね、分かった?」
横を向いて煙を吐き出しながら、ソウはまるで子供に教え聞かすように私に言った。
──なんだか、馬鹿にされた気分。
腹が立って、恥ずかしくて。
「貸して!」
私はソウの手からタバコを奪うと、口に咥えて思い切り息を吸い込んだ。
その瞬間、口の中にタバコの煙が充満した。
激しい苦みが私を襲う。
「やっ……!」
思わず口を開いて空気を吸い込んでしまったのが、更に悲劇に拍車をかけた。
その衝動で、強い刺激が鼻だけでなく胸にまで広がった。
頭がクラクラして、息ができなくなって、
私は思わず咳き込んだ。
「あーもう、無理して」
ソウは私からタバコを取り上げると地面に捨て、足で踏んで火を消した。
そして、前屈みになって咳き込んでいる私の背中を優しくさすってくれた。
「どうしてそんなに背伸びしようとするの? 無理して笑うのは反則だって約束したじゃん」
──ソウの前では、私は頑張ることもできない。
この涙はタバコの煙のせいなんだ、
この鼻水は寒さのせいなんだ、
だからまだ私は大丈夫なんだ、って言い聞かせても、もう涙は止まらなくて。
「ミナさんはミナさんのままでいてよ」
「ソウ、うるさい……」
私はソウの胸におでこをつけると、声を押し殺して泣いた。



