あの恥ずかしい事件から数日たって、咲月はあっさり忘れたような顔して生活してる。


恥ずかしい事件とは、言うまでもなく『甘えていいよ』なんて言っちゃったこと。



なんか、雰囲気みたいなのに流されて、すっごく恥ずかしいこと言っちゃったなーって、思い出したらいつでも恥ずかしい。



どさくさに紛れて“咲月”って言っちゃったし。



あー、もう恥ずかしーっ。



「なに顔赤くしてんの、気持ち悪っ」



背後から急に叩かれた。

いや、背後なのに何で表情わかるんだよ……。