「これ着とけ。」 素っ気ない言葉と同時に、強引に頭の上に置かれたブレザー。 「…え?」 萩人は、私と目を合わせようともせずにそっぽを向いている。 「さみぃんだろ?だから、黙って着てろ。」 いや、気持ちはありがたいけど… 「そしたら萩人が寒くなるじゃん。いーよ、平気だし。」 「いいんだよ!!」 これは、萩人なりの不器用な優しさだと思った。 だから私は素直に“ありがとう…。”とだけ言って、校門に向かう萩人の隣にならんだ。 .