☆樋口蓮サイド☆
「すみません、俺の後輩が」
可哀想なおじさんにとりあえず謝る。
ほっとした顔をするおじさん。
俺は、李津の頭をおじさんの肩からどける。
李津のまぶたはピクリとも動かない。
これは、ダメだな。昏睡状態に陥ってる。
「俺、ここ座りますんで、おじさんは他の席に移動してください。この様子じゃまた倒れそうなんで」
「あっ、あぁ、ありがとよ」
おじさんは素早く立ち上がって、さっさと他の席に座りに行った。
俺は、おじさんの座っていた席に座る。
再び電車が動き出す。
慣性の法則より、李津の体が大きく揺れる。
