その子は、少し目を白黒させてから、見て分かるような深呼吸を繰り返して、席についた。

とりあえず、とりあえず、話しかけて会話の雰囲気を作らないといけない。

そして、私が女であることを話さないといけない。

「あの…」と私は桜、ていう子に声をかける。

その子は、ぽっ、と顔を赤くして私を見る。

……あぁ…顔を赤くしないで…。

私は…女だから…。

「…はい?」

か細い声で返事する桜ていう子。

「名前、何ですか?」

ありきたりな質問をする私。

「…えっ、あっ…み、三好桜…です。」

「へぇー、桜、ていうんだ。可愛い名前だね。私は…」

「知ってるよ。」

桜は、ニコニコした笑顔でそういった。