「最悪なやつ、て思った?」

樋口先輩は、寂しそうな顔ひとつしないで、私にそう聞いた。

「いえ。でも、きっと、血も涙もない人なんだな…と」

「血も涙もないね…。一応、人間としての情は持ってるつもりだけど」

「自分のことを純粋に好いてくれてる子達の反応で遊んどいて?」

「まぁね。一種の個人の快楽だよ」

「ふうん。意味分かんないですね。可哀想とか思わないんですか?」

「俺は、女子じゃないし分からないかな」

……じゃあ、私は女子だから分かる、ていうこと?

でも、今のこの人の言い方だったら、私が女子だからその子達の気持ちを分かってあげれてる、て言うこと?

私が、女子であることに気付かれてる訳??

「でも、一番の理由は、恋したことないからかな」