ガタンゴトンと揺れる車体に、私の体も小さく揺れて、トン、トンと何度も小さく樋口先輩の胸に当たる。 その時、ふとさっき掴まれた手首を見た。 当然、樋口先輩は私の手首から手を離していた。 なんとなく今こうやって改めて掴まれていた手首を見ると、掴まれていたところが熱を帯びている感じがした。 「次の駅で大分人減るから」 「…あっ、はい…」 その時、また私のおでこがトン、と樋口先輩の胸に当たった。