そこにいたのは、男子だった。

背がバカでかい…とは言っても、わたしとあまり大差がないのが悲しい現実。

「はい。」と私は答える。

その人は、私をじーっと見る。


そう、じーっと。

「…えっ、あの、何ですか?」

「いいや、何でもないよ、ただ…」

その時、どっかの駅に到着した瞬間に、大量の人が乗り込んで来た。


五人ぐらいのサラリーマンの固まりがこっちに押し入って来た。

慣れない新しいローファーを履いた自分の足が絡まって、よろける。

「…わっ…あっ…」

前のおじさんに転ける、と思ったその時、パシッ、と私の手首がバカでかい人に掴まれた。