「わかった、わかったから。早く退けて。本気で社長が来ちゃうわよ。」
だから退けろ、このオタンコナス。
今日から秘書課なんだよ。
長年勤めてるこの会社の社長に、こーんなに下らない事で今更クビ宣告されるのなんて、真っ平ごめんだし。
この歳で彼氏ナシ職ナシなんて、新入社員のキミとは重さが違うんだよ。
じっと目が合う。
「………。」
「………。」
「………?」
あのねぇ。
「居ますけど。」
「は?何、誰が?」
「いや、だから僕、此処に居ますけど。」
小首を傾けて、ぱっちり二重をこれでもかってくらいに睫毛をバタつかせてる。
ダメだわ。
お話になんない。
大体、ぶつかりすぎなのよ。
ちょっと綺麗な顔してるからって調子にのんなっつうの。
男は顔が全てじゃないんだから。
フンッ!!!

