これはひそひそ話が始まる合図。 だからあたしも急いで最後のパスタを口に詰め込んで、前屈みになる。 「誰の秘書につくか言われたの?」 あぁ、なんだ。そんなこと。 ひそひそ話でもないじゃないか。 あたしは元に座り直す。 「聞いてない。」 だって取引先の名簿しか貰ってないもん。 秘書課の先輩に貰った書類に目をやる。 こんなに一日で覚えられるわけないじゃんか。 軽く100人越えてるぜ。 「なんで?」 「なんでって言われても…、あっ、ちょっと!」 香里に書類を奪われて焦る。