あたしは、
“浮気されている”という
事実よりも、
その浮気相手に渡すプレゼントを
旅行にまで持って来ている…
ということのほうに
大きなショックを受けた。
「ごめ…ん……。一人に………なりた……い…」
なんとか絞りだした声は、
蚊の鳴くような声だった。
「じゃあ…高梨(秘書・女)呼んで
おくから…。気が済むまで、ここ
(南の島・別荘)にいていいから。
帰るときに連絡さえくれれば、い
つまでいても構わないから」
「……………」
和貴の優しい声掛けが、
今はとても辛かった。
「俺、昼過ぎにここを出るから」
「……………」
本当なら引き留めたい。
それだけじゃない。
好きと言いたいし、
思いきり抱きつきたい。
………だけどそれは、
和貴にとっては、
“迷惑”な行為だから。
あたしはそれをグッとこらえる。