「零」
「ん? 何〜?」
不意に名前を呼ばれたから
振り返ると、
いつもより真剣な顔をした和貴が
いて…。
思わず、一瞬固まってしまった。
「…………やっぱいいや」
「ふへぇ???」
何か言おうとしてた
っぽいんだけど。
やめちゃったみたい。
……………?
「次はどこに行きたい?」
そう聞かれた。
「ん〜。今日はもうおしまいッ!!
歩き疲れちゃった!!」
「じゃあ、帰るか」
「うん♪」
あたしは何〜にも
気づかないふりしてた。
…………聞かないほうが
いいことってあると思ったから。
ま、あたしが聞くのが
こわいだけだから
……なのかもしれないけど。

