「綺麗……」 「お手にとってご覧になられます か?」 「あ、いぇ…大丈夫です」 店員さんに聞かれてあたしは とっさに、そう答えてしまった。 ―――本当は、手に取って 見たかった。 だけどそんなことしたら、 和貴に気づかれちゃう…。 和貴に気づかれることを 恐れたあたしは、 ただただ食い入るように、 見つめていた。 「あたし、指のサイズって…いく つだったっけ…」 指輪を眺めながらふと気づけば、 そんなことを口に出していた。