「和貴」
「ん? 何?」
「お手洗いに行ってくるね」
「わかった」
零がトイレに行ったのは、
またとないチャンスだと思い、
悪いとは思ったものの……
零が見ていたガラスケースを
覗いた。
「指…輪…?」
―――零が見ていたものは、
“指輪”だった。
何十種類もあったから、
“どれ”を見ていたのかまでは、
わからなかったけど……。
「こちらは、今一番人気の商品な
んですよ。奥様も先ほどからジー
ッと、これを見ていられましたよ
」
「これだったのか…」
零が見ていたのは、“指輪”で。
見ていた指輪がどの指輪なのかも
わかり…。
―――でもまさか零が指輪を
見ているとは、
思ってもいなかった。
まさに目から鱗、だ。

