「笑いたいなら笑えばいい。泣き たいなら泣けばいいし、怒りたい なら怒ればいい。喜怒哀楽…否、 それだけじゃない。ちゃんと“感 情”を表に…。顔に、体で、自分 で、表してくれ。……ここは榊家 じゃない。人形でいる必要など、 どこにもない」 「…………ありがとう…」 そう言って零は、笑った。 ―――初めて見たその笑顔に、 年がいもなく、 ドキッとしてしまったことは、 恥ずかしすぎて、 誰にも言えない―…。 俺だけの、秘密…だ。