高速道路に乗ったら、バスレクを始める。
もうすぐ、というところで、私は前田くんに声をかけようとした。
「まえ……っ………」
彼は窓の外を見ていた。
でも目は景色をとらえていないように見えた。
なんとも言えない――悲しそうな、寂しそうな目。
でもその表情を、私は…きれい、と思ってしまった。
喉の下の方がしめつけられた感覚。
よくわからなかった。
「優音?」
由香は不思議そうな顔をしていた。
「……あぁ、大丈夫…」
「前田くんに声かけとくんじゃなかった?」
「あ、…うん。」
前田くんはまだ窓の外を眺めている。
私はまだ、喉の下の方がきゅーっとした感じ。
変なの。
「前田くん」
でも、もうすぐ高速道路乗るし…声をかけた。
「ん」
前田くんが振り返った。
さっきの目じゃない。
私はほっとして話した。
「もうすぐだけど、大丈夫?」
「…大丈夫」
いつもの無表情に戻って答えた。
その後、志織にも声をかけた。
私はもう準備万端。
高速道路に乗って、少し経った時、高野先生から声がかかった。
「もうバスレク始めていいよー」
それを合図に、用意してあったマイクを構えた。
「それでは今からバスレクをはじめます」
私は、台本通りに喋った。
まず、志織が提案した風船ゲーム。
これはなかなかに盛り上がり、女子は「キャー怖い」と叫んでいた。
次は私の『伝絵ゲーム』。
先ほどではないが、そこそこに盛り上がった。
このクラス、ノリいいなぁ。
そして次は…。
