ドキドキする。
心臓はれつしそうだよ。
「あたし…」
中川は、顔が赤くなってた。
そりゃまぁ、このシチュエーションは告白しかないよね。
「あたしね…中川が…」
好き。
そう言おうとした瞬間。
格技場の扉の方から大きな声が聞こえた。
「失礼します!」
この声は剣道部顧問の先生だ。
「ほらほら、何してんだ。はじめるぞ」
中川はいつもの号令の場所に戻ってしまい、練習をはじめた。
せっかく、チャンスだったのに。
先生、ばかー!!
言えないと私、すごく落ち込んでしまう。
「今日はしょうがないよ。先生来ちゃったし」
玲が慰めてくれた。
でも弱いのは私…。
ダメだなぁ。
今日、言わなきゃいけないのに。
その日はそれ以降、告白するチャンスは無かった。
そうなると、あの時なんで言わなかったんだっていう後悔が大きくなる。
由香、言えなかった。
言えなかったよ…。
アイス、おごってくれるって言ってくれたのに…。
ダブルデート行きたいって言ってたのに…。
ごめんね…。
悔しくて情けなくて涙が出そう。
…まだ振られたわけじゃないのに。
