授業が終わり、由香のところへ行くところを、先生に呼び止められた。
「市川、これ皆に配ってくれないか」
「…え、なんで私が」
「一番近くにいたからな。すまんな、頼んだ」
はぁ。教卓の前通るんじゃなかった…。
私は数学のプリントを急いで配った。
配り終えて、由香を探すと、いなかった。
どこ行ったんだろ?
まさかまたあのギャルと…。
心配していると、鐘が鳴ってしまった。
それからも、その日はいろいろ偶然噛み合わず、2人で話せなかった。
そしてついに放課後になってしまった。
あぁぁ今日金曜日だ!
なんでこんな時に限って…。
図書室行かなきゃ…。
由香…。
気になるよ!
図書室に行くと、もう前田くんは来ていた。
「あ、早いね」
「ああ」
昨日の『しりとり』を思い出して、顔がにやけてしまう。
「何笑ってんの」
「ふふ、何でもないっ」
そう言いながらもにやけた顔のままだ。
「…」
いつもの位置についたところで、図書室の扉が大きな音をたてた。
来た…。
「アキーっ!聞いて〜」
いつも通り元気な水城くん。
「今日さ、俺さ、彼女出来た!」
「へぇ」
前田くんは一言答えた。
私は少し驚いた。
もういるもんだと思ってた…彼女。
「実はずっと好きでさぁ〜超かわいい子なんだよ!俺一目惚れなんだ!相手も俺のことちょっと気になってたみたいでさ〜コクったらOKもらっちゃった!もー可愛すぎだよ由香ちゃん」
…え?
「ちょっと待って!水城くんの彼女って…」
「あ、優音ちゃんと仲いい子だよ!由香ちゃんだよ」
「えぇぇぇぇ!?」
そうだったんだ!!
もしかしてギャルにつれていかれたのって、水城くんが呼び出したから…?
なんとなく嬉しそうだったのは、告白されたから…?
わっ、知らなかった!
そっか、そうだったんだぁ。
「優音ちゃん聞いてなかったんだ?」
「うん。びっくり!」
そうかぁ。
良かった!
