「俺もバスレク」
前田くんは一言答えた。
水城くんとは真逆で何とも無駄がない。
「やったぁ。一緒じゃん!嬉しいなアキ!」
水城くんは共感を求めているみたいだが、前田くんは全く反応していない。
「優音ちゃんは?」
「あ、あたしもバスレク…」
「へー!やったあよろしく!」
「うん。よろしく!」
手を差し出してきたので握ると、ものすごい勢いでブンブン振られた。
本当に元気だなぁ。
「じゃあそろそろ部活行ってくる!」
水城くんはばいばーいと手を振りながら図書室から出ていった。
「はぁ…」
前田くんがため息をついた。
うん、なんとなく分かるよその気持ち。
「でも水城くんって、前田くんのこと大好きなんだね」
「ああ…」
その顔は少し嬉しそうだった。
「いい友達だね」
「あぁ、あいつは元気そうだしな」
元気?うんまぁ元気だけど…。
やっぱり自分とは違うタイプの人がいいのかな?
まぁ気にしなくていっか。
「前田くんもバスレクよろしくね」
「ああ」
その日はそれ以降誰も来ず、図書室を閉めた。
