そう思いながらも、廊下で中川を見たときとか、部活で目が合ったときとか、嬉しくなってきっと当番のことは頭に無かった。
そして金曜日。
私はちゃんと放課後、図書室に行った。
前田くんより早く行くために、ダッシュした。
さようならした瞬間に走ったから、図書室は開いていなくて、もちろん前田くんはいなかった。
私は職員室に行って鍵を取り、また図書室に戻ってきた。
するとそこにはもう前田くんが来ていた。
「今日はちゃんと来たよ」
「ああ」
無表情で前田くんが答える。
私は鍵を開けた。
前田くんと2人で図書委員しか入れない、返却口の中に入る。
図書室の中から、図書準備室に入れて、図書室側に2つついてる窓が返却口と貸し出し口になっていた。
前田くんは馴れた手つきで窓を開け、返却口の前の椅子に座った。
私は必然的に、貸し出し口の前に座る。
「慣れてるんだね」
「ああ」
「一年の時もやってたの?」
「ああ」
…会話が続かない。
前田くんって、ずっとこんな調子なんだろうか。
