その日、前田くんが怒ってないか心配で、チラチラ様子を見ていた。
でも、前田くんはずっと無表情で、怒ってるのかよくわからない。
ただ、よく見てみると、前田くんだけクラスから孤立していた。
誰も彼に話しかけようとしない。
というより、彼がわざと皆から離れているように見えた。
でも、休み時間によく学級文庫の前に立って、私が選んだ詩の本を読んでいた。
気のせいかもしれないけど、その時だけ少し優しい顔をしていた。
なんか、私のことは全然気にしてないみたいだ。
良かった。怒ってない、かな。
それから私は金曜日まで、当番のことを忘れないようにしていた。
気を抜いたら忘れそうだ。
ちゃんと覚えてなきゃ。
