ゼェゼェと息を切らしながら目の前にある光を見た。


「な?綺麗やろ」

振り向きざまに髪が揺れる。


その髪が月明かりに照らされてキラキラと輝いている。


さっきは見えなかった男の子の顔が明かりで、よく見えた。


凄い・・・綺麗な顔...


切れ長の瞳に鼻筋が通った綺麗な鼻、薄い唇にキメ細かい肌。

思わず見惚れてしまうような綺麗な顔が私に向けられていたのだ。


「あなたはなんて名前なの?」

私がそう質問すると、男の子は少し首をかしげた。


その姿が、どこか幼くて目が離せれなくなる。




・・・・でも、何で傾げたの?


疑問に思っていると、一気に辺りが明るくなった。


目の前にある、あの光に向かって飛びこんでいきたいくらいに明るい光。


夜空に広がる、光の帯




その時、何故か無意識に私の足が光の方へ動いていた。


恐怖心も不安も辛い事も、全部――あの光が消してくれているような・・・


そんな気がして...



思い切って手を伸ばした。




――その時


「危ないやろッ!!!」


後ろから抱きしめられるような形で動きを止められた。


背中から体温がじんわりと広がる。



あれ・・?


どうしよう・・・ドキドキしてくる...