「ちょっと走ろうか」

そう言って私の手を掴み走り出した。


突然の事に戸惑いながらも見ると、漆黒のような黒い髪に大きくて広い背中が微かに見えた。


多分、さっきの声からすれば男の子だろう...

ぎゅっと強く手を引っ張られ、そこから温度が上昇してくるのが分かる。


恥ずかしいけど...少し嬉しかったりする。



初めてだよ...男の子に手を引っ張られたのは





ずんずんと森を抜け、その奥から光が見えた。



もうすぐで出られる。


ちょっと安心したように心拍数が下がった。





――――そして


「ほら、着いた!」


男の子は息切れ一つしない声で私に言った。