どの答えに迷っていると、見かねた和馬が質問を変えた。



「陽向君、美月と知り合いだったりするか?」



今度は優心に視線を移す。



その質問を聞いた優心は少し考え込むような顔をして、さらりと答えた。



「全然や。知らん人やと思う」


「あぁ、そうか」


「よっしっ!!良かったぁぁぁ――!!」



全く違う和馬と夏乃の返答



でも・・・どちらも安心したような顔をしているのは...なぜ?




和馬は椅子に腰を下ろし、夏乃は嬉しそうな笑顔を優心に向けている。


その笑顔を優心は不思議そうに見つめていて・・・なんだか笑みがこぼれた。




「・・ふふっ」



「えっ!?何で笑ったの、美月?なんか面白い事あったの?」



「・・・ううん。違うの...ただ、幸せだなって」





私の事は忘れている・・・大好きだった人。


儚い希望が大きな音をして散ってしまったけど、今、私の目の前にいることには変わりない。



どんな形でも、“あなた”がいてくれたら...私はそれでいいの