「そんじゃあ最後に転校生クン、挨拶な!!」


先生のフリに一気にみんなが食いつく。



眩しいくらいの視線を向けられている、優心



その中の...クラスメイトの1人にすぎない私。



ずっと・・・ずっと想ってた。


好きだった。


会いたかった。


苦しかったよ。


たくさん泣いたよ。


抱きしめたかったよ。


また、あの笑顔が見たかったよ。




こんなに優心のことで、いっぱいだったのに....


何で覚えててくれないの?



「陽向優心です。大阪から引っ越してきました。方言とかは、あんま気にせんといて」

そう言って少し微笑むの



大好きだよ...優心の笑顔。

1人占め...しかたったのに...。



軽く優心は、その場で一礼すると、すぐさま席へと動き出したのだが・・・


「ちょ・・・陽向クン!??席、ここだぞ??」


驚きと戸惑いを隠せず慌てる先生。

必死に前の席の3列目を指さし、興奮気味。


そして、隣の女子もいきなりの状況についていけないようで唖然と固まっていた。



スラリと伸びた背

あの頃よりも広くなった肩幅

サラサラな黒髪


優心は持っていたカバンをドサッと勢いよく机の上に置く。


「センセー!オレ、この席にするわ」

パチンとアイドル顔負けのウインクを決め豪快に椅子を引き席に座る。



「「「キャーーー!!!!」」」

女子は顔を真っ赤に染め黄色い声のオンパレード


それを迷惑そうに見る男子達




「よろしくしてな~立花・・・サン?」

差し出された細く綺麗な男の子の手



そう・・優心が座った席は....

信じがたいことに私の隣の席。


夏乃と和馬は鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔をしている。


無理もない・・・実際に私が一番驚いていることだし。




・・・あの頃の優心とは別の人間。

性格も口調も・・・・



...あれ、どうしよう・・・。



涙出てきた....。