ピーンポーーン




「あっ、お友達が来たみたいよ?ご飯はそのままでいいから、顔洗って来なさい。私が出ておくから」




「・・・分かった...」



遠くの方の玄関からチャイム音が鳴った。



「美月。ちゃんと今日も・・・喋れるわね?」


にこりと笑う紅華。

その表情は「頑張りなさい」と背中を押してくれるようだった。



「うん、泣かない・・・笑ってる」



「よ~し、それでこそ私の娘!」





前を向くんだ。


苦しくなったら私には力になってくれる人がちゃんといる。


わざわざ1人で抱え込む必要は無いの



手を差し伸べてくれる人がいる。

笑顔を向けてくれる人がいる。

毎朝、家まで迎えに来てくれる人がいる。






顔を洗って玄関へ向かった。




――あの日のままじゃないの...私は。


紅華に教わって言葉だって勉強だって...



3年前の・・・・あの日。


すべてを失い―――そして、新たに手に入れた。



私自身の居場所を。





ねぇ..優心

聞こえてますか―――?



私は私を見つけたよ。



もし“あなた”に会えるなら



今の自分を見てもらいたいな・・・。